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水牛の仔が希望を与える    

12月20日 チトワン国立公園では、コシ・タブ野生生物保護区から持ち込まれた野生の水牛の適正飼育に苦労してきたが、この度2頭の仔牛が誕生し、ここが生息地としててきしていたこと、スタッフの管理が適正だったことを示すものとして、将来に対して明るい希望を与える出来事として歓迎されている。コシ・タブ野生生物保護区は、野生の水牛のネパールで唯一の保護区です。ここでは数が増えすぎて、周辺の村々の家畜である水牛との交雑が問題となっており、チトワンに新たに野生水牛の生息地を確保することが目的だったから、仔牛誕生はその未来を明るくするできごとだ、というわけである。

殺人象を殺処分すべきか否か

12月17日 東部ネパールのサンサリで、長年にわたり数人を殺し、村々で家屋を破壊した一頭の象を殺処分すべきか否か、当局と野生生物保護活動家との間で議論が続いている。村民の多くは本来野生生物保護区に居るべきこの像を殺処分すべきと主張している。しかし、保護を主張する側は、象を住民側が威嚇するような行為をしなければそのような破壊行為はしない、と主張している。交尾期の象はいらだっていることが多いので、人間の側が不要な刺激を与えないようにすることで、被害は避けられる、としている。公園側では、今後公園から外部へ出る象をいち早くキャッチして警報を流すシステムを作りたい、という。

インフラ整備計画が森林面積を侵食

12月4日 法律上では、伐採に伴って植林をすることで森林全体を維持することがもとめられている、と専門家は言うが、実際には巨大プロジェクトが実施された場合、森林を大きく破壊してしまうケースが多い。例えば、発電ダム、送電線、セメント用の石灰岩採掘、高速道路、鉄道、空港整備などである。しかし、これらは国の経済発展に必要なインフラ整備であり、これを止めることはできない。一方で、森林の保全は国土の保全や飲料水、農業用水の確保、木材や地域の燃料資源の確保、豊かで多様な生物圏環境の維持、主要な産業としての観光など重要な資源でもある。政府は植林事業にもっと力を注ぐべきである。

ユキヒョウの殺害

10月22日 ユキヒョウが家畜を襲うことに対する報復として、地元住民が殺害する事件が後を絶たない。ユキヒョウは世界で4,000頭ほどが生息しているとみられるが、その約1割がネパールに生息している。主に餌としているのは野生の獲物である青羊やヒマラヤ・タールが67%、ヤギなどの家畜が33%とみられている。生息地域の約3割が保護区域外であることから、保護区域の見直しを含めて検討を要すると専門家は言っている。

世界一汚染された国という報告

10月21日 「世界の大気2020」の報告によれば、2019年にPM2.5の最も高レベルの国は83.1μg/㎥でネパールである。2018年では54.1μg/㎥で8番目であった。また報告書では、世界の90%以上の人々がWHOが定めるガイドラインの年間平均10μg/㎥を越えたPM2.5の汚染濃度を経験している。PM2.5の長期間の暴露は肺がん、肺炎、心疾患などの原因となり、ネパールでは2019年には17,900人が犠牲になっている。

ブラックバックの保全に成果

9月22日 シュクラファンタ国立公園では、カモシカの仲間であるブラックバックの保全に成果を上げている。2012年に動物園から預かった28頭のブラックバックを2020年には100頭にする計画だったが、現在113頭に達しており、目標は完全に達成された。今後の増加については、公園の全面積に対して許容できる頭数は限られており、むしろ増加を抑制せざるを得ないという。さもなくば、近隣農地への侵入などで村民とトラブルになることが懸念される、という。

気候変動活動に支援金

8月20日 気候変動に対する行動を支援するグリーン気候基金(GCF)から総額30億ルピーの支援金が支給されることが決定した。これは「ガンダキ河流域における脆弱な村落と生態系の気候弾力性の改善」というテーマの事業に充てられるもので、期間は5年間である。これはこの地域の林業に関わる利害関係者の努力に報いるための資金であり、森林省が中核となってプロジェクトを推進するが、その活動自体は国際自然保護団体などが実務を担当する。

フクロウの保護

8月3日 ネパールには23種のフクロウが生息し、その保護の必要性が叫ばれてきたが、一向に実現できなかつたが、今回2020-2029年の10年間の保護計画が策定された。これまではトラ、象、サイなど大型動物の保護には積極的だったがフクロウのような目立たない小動物には消極的だった。しかし、フクロウは、薬や魔除け、食用などのために密猟が横行している希少動物のトップ10に入っている。それゆえに、新しい法規制による保護の成果が期待されている。

トラの生息数

7月30日 ネパールはトラの生息環境に適していてその数を倍増させることが可能な立場にいる。しかし、密猟や違法取引の取り締まりを強化したり生息地が細分化していることの是正、病気対策など課題も多い、と専門家はいう。ロックダウン中に密猟が横行するなど、対策がおろそかになっており、2022年までに生息数を倍増させるという目標は、達成が困難になってきている。

象の放牧禁止

Covid-19のため起きているパンデミックや国内のロックダウンの影響で、チトワンを訪れる観光客はゼロとなり、その影響で、象の飼い主は飼育の費用が賄えず、象を放牧することにしたが、当初は乾季で餌となる草が十分になかったことから、公園内の草地に放つことを許可したが、雨期になり草は豊富になったとして、放牧を禁止することになった。
観光用の飼育象は現在70頭程度いるが、飼い主たちは観光客の激減で経済的に苦境にたっており、ラプティ川の川岸に象の放牧地を設定してほしいと公園管理者へ要望をしているが、公園側は難色を示している。通常時にはサファリパークでの収益に課税している州政府に対してもこの問題での支援を訴えている。

イルカが早くも帰還

6月18日 カイラリ地域のMohan河では、今年最初のイルカ目撃の情報がある。イルカは例年7月ころにはインドのガンジス川からその支流であるMohan河その他の支流に遡上してくるのであるが、今年は異常に早く戻ってきた。専門家によると、これは支流の水位が例年よりも早めに上昇したためと考えられる、という。川イルカは絶滅危惧種に指定されており、地元民にも親しまれている存在で、このように早い時期に見られたのは、観測データのある過去20年間では、2001年6月3日の記録以来のことである。

ロックダウン中に共有林で違法伐採

6月2日 タンセンでは、ロックダウン中に森林の不法伐採をしたとして関係者3人が逮捕された。森林事務所によれば、彼らは許可された量の3倍にも及ぶ大量の盗伐をし、買い取り業者と結託して不法に売却したという。ロックダウン中の監視の目が弱まっている間の犯行で、非常に悪質だと地元住民も怒っている。

環境関連予算案に疑義

5月30日 環境保全に関する予算が現状に逆行していると環境保護主義者は嘆く。それは、電気自動車に対する課税強化である。ロックダウンでカトマンズ盆地の大気が劇的にきれいになったことは、化石燃料車両がいかに大気汚染を引き起こす元凶であるかをよく示しているにも関わらず、クリーンな電気自動車に対する課税を強化するのは環境を無視した政策だと政府を非難している。

伝統的なレンガ窯は巨額の財政付帯を招く

5月3日 最新の世界銀行の調査によれば、低品位の石炭を燃料とするネパールの伝統的なレンガ窯は、環境にやさしい高度で効率的な技術へアップデートすることで環境への負荷を低下させることができる。しかし、この技術転換が進まずネパールにおける環境悪化の大きなファクターとして未だに未解決になったままである。ネパールはインドやバングラディッシュほどレンガの需要は大きくないので記述転換は容易にできると考えられる、と報告書では述べている。

ロックダウン中に違法砂利採取

4月24日 マホッタリで、Covid-19のためのロックダウン最中に、人目を盗んで違法な砂利採取が行われていたことが発覚した。地元住民が、マハラ川で深夜砂利採掘している業者を見つけて裁判所がその差し止めを命じたにも拘わらずこの業者は採掘を続けた。これを取材していたジャーナリストに対しても脅迫した。警察や市役所は異口同音に業者には注意、指導したというが、この業者の違法行為はまだ続いていた。

絶滅寸前のチプリダ湖

3月19日 ルクム東とルクム西にはかつて「52池」と呼ばれた多くの池があったが、それらは近年急速に干上がってきて無残な姿になっている。中でもチプリダ湖は美しい水面で地元住民に親しまれてきたが、水が少なくなり干上がってきたことに加えて付近の市場から排水が流れ込み、水質が悪化、さらには建物が周辺に建ちゴミの不法投棄が重なって絶滅寸前になっている。村では60万ルピーの予算をつけて池の保全に乗り出したものの長期的なビジョンは示されておらず、大きな課題となっている。

シッダルタナガールでゴミ処理が不適切

3月17日 シッダルタナガールではこの1週間ほどゴミ収集が滞っており、市内のあちこちで家庭から出たごみが路上に放置されたままのため悪臭が漂っている。バクリハワにある処分地の管理が悪く、住民からの苦情が殺到し、収集が行われなくなったためである。地域全体のゴミの管理体制が十分でないことを示している。行政側の言い分しては、3年前に廃棄物処理センターの計画を立てたが、地元の代表の反対や政治的な賛否で混乱し、中止になったと主張している。

森林内に違法建物

3月7日 シャンティ地区共有林の事務所によると、林内にコンクリートの建物を建てているのを発見し、警察の協力のもと、建築中止を申し入れたが、当事者はこれに反論した。この場所は森林区域外であり、現に他にも15,6軒の家があり、森林との境界には溝もある、と主張。背景には運河の工事のため住民の土地を買収したものの、住民は移転先が決まらず明け渡しが完了していない。これがこのような森林区域への違法侵入を助長している。

コウモリを救おう

3月3日 ビルガンジのジャガルナトプールでは、地元住民がコウモリを救おうとしています。地元では古くからコウモリの肉は喘息などを治す薬になると信じていて、これを捕獲して食用にする習慣がありましたが、最近ではめっきり生息数が減り500匹ほどになしました。このままでは絶滅する恐れも出てきたため、地元住民が率先して、この村の象徴的存在であるコウモリを守っていくことにした。

地元当局が池を侵食

2月27日 ネパールガンジとその周辺都市では、公共的なビルの建設を目的として、伝説のあるような大切な池をつぶしてしまうようなケースが多くあることが発覚しました。役所の言い分は、都市部が住宅密集で公共施設を建設する場所がないためやむを得ず池を埋め立てていると弁解している。これに対して、住民の一部は、大切な水面環境を保護して、観光資源にするため、もっと清掃し、公園として整備することを要求している。

野生の蘭が徐々に消える

2月26日 ドラカ地区では、絶滅危惧種に指定されている野生の蘭が不法な販売目的の採取や不法な森林伐採、道路開発などのために徐々に生息数が減少している。この地域の森林には300種以上の野生の蘭があるが、これを研究している学生が、積極的な保護対策を求めている。これに地元住民も、蘭の減少を認め、賛同している。

グルカの住民が役所の不法ゴミ投棄を阻止

2月26日 グルカのハッティガタでは、自治体が地元の森林内に不法にごみを投棄していたことが発覚し、住民からクレームが出ている。自治体ではゴミ捨て場に有刺鉄線の柵をしていたがこれが壊れたままになっていて、ごみが外にあふれ出ている。村民は、この処分場の廃止を要求しています。村ではゴミ処理の資金が県から出ていたが2017年の地方選挙以後ストップしたままなので補修もできない。またゴミの収集も止まったままになっていると主張している。

カトマンズの大気汚染の新行動計画

1月9日 カトマンズの大気汚染は、すでに警戒レベルに近づいており、PM2.5の濃度が300μg/㎥を越えた場合の市民の健康維持のために交通規制や学校の休校措置などを実施する行動基準が新しく決められた。現在でも乾季の場合200-250μg/㎥に達することがあるが、まだ300μg/㎥を越えたことはない。年平均でみると2017年では45.9μg/㎥、2018年では54.4μg/㎥と悪化している。WHOのガイドラインでは、25μg/㎥が公衆衛生上安全なレベルとされているが、ネパール政府基準では40μg/㎥と定められていて、余りにもかけ離れていることが分かる。

パルサ国立公園内の水不足に危機感

1月2日 パルサ国立公園では毎年9月から翌年4月までの乾季には園内にある12の河川と15の池が水不足となる。今季は特に深刻な状況で、そこで公園管理者はタンク車で水を運んで池に給水している。このために250万ルピーの予算をかけて給水用の井戸を掘ったのだが、深度150メータ―でもわずかな水しか出ないので困っている。園内の動物や鳥たちが生命を維持するには危機的な状況といえる。