2019年6月、ベトナムに現地法人SiESを設立しました。写真は12月の設立式典の1コマです。
大量の松、それは良くないこと
12月21日 30年前には不毛の地であった斜面が、今では松林の緑が生い茂っている。1991年から始まった植林事業の成果である。しかし、一方で困った問題が発生している。付近にあった10か所の湧水が、今では2か所に減ってしまい、しかも湧水量は非常に少なく村人の飲料水にも事欠くようになった。。これは大量の松が地下水を吸い上げてしまうからだ。さらに、林に住み着いた虫や鳥が農作物を荒らす、厄介な存在になってきた。このような現象は、その村に限らず、Sindhupalchok郡全域で起きているという。松は成長が早く、荒れ地にも着床しやすい植物として植林には最適とされ、ネパール全域で植林が奨励されてきたが、地域の自然環境を著しく変えてしまい、地域住民にとって負の側面が無視できないほどになっている、というのが現状である。
湧水が干上がってきた
11月29日 ネパールでは、山の傾斜地に畑があり、集落が丘の上にあることが多く、慢性的に水不足の村が多い。しかしこの20年間の間にそれは急速に深刻化しつつある。その原因は、無計画な道路開発、人口増加、気候変動による地下の保水力低下にあり、湧水も年々水量が減少もしくは完全に涸れてしまう場所が増えている。これは、村落の存亡に関わる大問題であり、これまであまり研究されてこなかった分野だが、地域の経済、農業生産、衛生、健康などすべてに影響する問題であり、調査と対策が急務である。
大気汚染の拡大が対策コストを押し上げる
11月25日 このほど世界銀行が21日に発表した報告書によれば、現在のままでカトマンズ市内の大気汚染レベルが2030年まで上昇するならば、その経済的コストが大きく膨らみ、財政を圧迫することになる。2015年で1億3千万ドルだったのが2030年には1億3千6百万ドルから2億5千6百万ドルへとはねあがると予測している。輸送部門、家庭用燃料、建設業、レンガ工場等が主要な汚染源であり、早急の対策が必要である。この傾向はカトマンズにとどまらず、ネパール全土へと拡大している。
バンケ生物保護区の国道に動物用簡易橋
10月11日 バンケ国立公園では東西国道とラトナ国道が貫通しているが、保護区内の動物がこの国道を渡っていて、スピード違反の車両にぶつかり死んだり怪我をするケースが多発している。このため、事故の多発する場所に動物用の簡易の橋を5か所設置した。過去5年間の統計では、274匹の動物、サル、リス、マングース、ヘビなどが交通事故で死んでいる。2016年にはトラが死亡したケースもある。ネパールでは初めての設置であるが、これで野生生物の命が救われることが期待されている。
気候変動に学生抗議デモ
9月21日 カトマンズでは、気候変動に対する行動を求める世界的な呼びかけに応じて、数百人の学生がデモを行った。これは政府に対しての抗議でもあり、また市民に対しての化石燃料の終わりを呼びかける運動でもある。16歳のスェーデンの少女の行動に触発され、賛同する学生の集会である。
カイラリで7年ぶりにオオヅルが
9月18日 カイラリ地域では、湿地帯の侵入により2012年以降オオヅルは見られなくなっていた。しかし、パンジャニ地区で3羽のオオヅルが確認された。専門家によればつがいとその子供とみられる、という。この鳥はネパール国内で500~700羽生息するとされているが、絶滅危惧種に指定されていて、捕獲したり、卵をとったりすると罰金が科せられる。
トゥリスリ河畔はゴミだらけ
9月14日 文化観光省は、国内77県に100か所の新観光地を指定したと発表した。そのうちの一つ、トゥリスリ河畔は、国道沿いになっていてるナラヤニガートからノウベシまではゴミが散乱している。国道沿いにはホテル、リゾート、レストランなどが1600ほどあって、下水は川に垂れ流しである。それにもかかわらず、行政はこの地域に何らの規制もかけておらず、河川水は汚染され、河畔はゴミが散乱している状況だ。地元住民は、ごみを落としていくのはトラックやバスで、地元民のゴミは少ないと主張している。「visit 2020」キャンペーンに合わせて地元行政もゴミ処理場の建設や住民の指導にようやく乗り出している。
医療廃棄物の不適切処理
9月4日 カトマンズ市内の医療機関の多くは、医療器具の再利用などを未だに行っている。このため危険な医療廃棄物の中から有用なもの、再利用可能なものを選び出して、これを商売にすることが行われている。そのような選別作業をする場所では、作業員の危険はもちろん、周辺の住民や通りすがりの人々に対しても病気に感染する危険が及ぶ。また、選別後の廃棄物の処理にも問題があり、一部が一般のゴミと一緒に処分場に搬入されることもあり、憂慮されている。このため大病院では、廃棄物の種類別に分別廃棄するように改善を図っている。
ポリ袋禁止のネパールで未だに・・
8月30日 2015年にプラスチック製品の製造が一部禁止されたが、その混乱を受けて法改正がなされ、2018年からカトマンズ盆地内では厚さ30ミクロン以下の袋の使用が禁止されています。メーカーは40ミクロン以上の厚さの製品を製造していると主張しているが、一部メーカーは未だに薄いものも製造しているという現実がある。それは、使用禁止区域が盆地内に限定されているためである。また、輸入品のチェックも甘く、中国製の30ミクロン以下のバッグが堂々と販売されているのが現状である。
トラの生息数は増加
8月30日 バルディア国立公園の近くトラが3人ずれを襲い、そのうちの1人がかまれた死亡したが、他の2人は被害を免れた。事件の後、3日間は、近くの集落を徘徊し、70歳の農民も襲われた。近隣住民は怖がって公園周辺には近づかないようにしている。
エベレスト地域でプラ製品禁止
ソロクンブの自治体は、エベレスト地域でのプラスティック製品、特に厚さ30ミクロン以下のペットボトルや袋の使用を来年一月から禁止することに決定したと発表した。一人の登山者が出すゴミは平均8キログラムで、今年のエベレスト清掃キャンペーンで収集したごみは、45日間で11,000キログラムに達した。その処理コストは2,500万ルピーに上る。また地域の生活環境にも悪影響を及ぼしている。これからは、飲み物は缶入りに限定されることになり、また袋は代替品を自治体で用意して交換するという。
ネパールの象が急速に減少
8月12日 密猟はないが、ネパールの象は、人間との関係性の中で毎年2%ずつ死亡する。国内には現在100~150頭の象がいるが、毎年、集落への侵入などを理由に2~3頭処分される。象は2年に一度出産することからこの数字は小さく見えるが割合としては高い方である。インドでは、生息数27,000頭に対して年間200頭、スリランカでは5,000等に対して年間150頭の殺処分である。ネパールの処分割合が高いのが分かる。殺処分が住民の安全のためという理由は理解できるが、象が集落に近づかない対策が検討されなければならない。
ルンビニが国境外からの大規模工場群による汚染に・・
7月3日 最高裁は、ルンビニ周辺に計画している工場の新設を禁止する決定を下した。この計画はインドの大企業による工場設置計画で、ルンビニから15kmkに立地とするというが、この場所はシッダルタナガールからは8kmです。この地域は現在でも多くの工場が立地して、煙突から吐き出される排煙によって、地域住民は健康上の脅威にさらされており、考古学的に貴重なルンビニの施設もこの影響を受けていることが報告されている。ネパールは国としてこのような人類的遺産を守る義務がある、との判断である。
使われないゴミ箱
6月28日 数百万ドルをかけて町中の道路に配置したスマートゴミ箱は、市民にあまり馴染みがなく、ほとんど使われていない。あまりにも奇抜な絵が描いてあり、これをゴミ箱として認識する人がほとんどいないためだという。道路清掃人は、この箱にゴミを入れてくれれば自分たちの仕事が軽減されるのだが、という。
管理されない医療廃棄物
6月25日 道路清掃の女性が指先を捨てられていた注射器に触れたためその後強い痛みを感じて病院へ行ったところ、感染症であることが分かった。市当局によると、このゴミを捨てた病院は罰金15000ルピーを課されたが、他にも罰金を科された病院があるという。大病院では、独自の処理システムを持っているが、小さな町医者ではまだ意識も低く、医療廃棄物の不法投棄は絶えないという。
ゴミ処理管理のまずさが雨期の都市住民を苦しめる
6月25日 カトマンズ市当局は、Nuwakot地区のSisdole村の最終処分場は、使用期間3年の契約でスタートしたが14年たってもまだ続いている。もう満杯なのだが新たに建設中工事がおくれており、今もこの場所に頼らざるを得ない。雨期の大雨でゴミが流される被害や途中の道路の被害も出ている。このためゴミ収集車は稼働できず、カトマンズ盆地内の道路上のゴミの山はどんどん大きく広くなっている。
地域が管理する森林が不法伐採と貧困を抑制
6月6日 ネパールにおける森林の地域住民による管理に関しては、世界的にも高く評価されている。最近の研究によれば、これが単に森林の不法伐採を抑制するだけでなく、住民を貧困から救う効果もあることが分かってきた。森林を守ることで下草が豊富になり、牛の放牧に適する面積が増え、これにより村全体の経済効果が高まったという。
ガウリサンカールのユキヒョウ写真公開
6月6日 世界環境デーにガウリサンカール山中に生息するユキヒョウの写真が公開された。これは、ユキヒョウ観測のために2018年11月に設置した自動撮影のカメラに映し出されたもので、研究者が以前から存在を予測していたものの実際に確認ができていなかった。ユキヒョウのネパール国内生息数は、350~500頭と推定されているが、十分に調査されているわけではない。このカメラには他の種類の動物も映っており、国立公園内の生物生息に関する研究が一層進むことが期待される。
カトマンズのゴミ処理が雨期に間に合わず
5月28日 カトマンズ市当局は、Nuwakot地区のSisdole村の最終処分場が満杯のため新たにNuwakotとDhadingの境界にあるBancharedandaに処分場を建設中であるが、この工事がおくれており、まもなくやってくる雨期には間に合わないようだ。Sisdole村の最終処分場は、過去14年間使用されてきたが、限度を超えているため雨期の大雨でゴミが流される被害が出ている。工事業者に仕事を急ぐように指示していると当局者は言うが、今年の雨期もどうやらそれが避けられない情勢である。
観光が盛んになり住民にも恩恵
5月19日 NawalpaarasiのKawasotiにあるNamuna森林協会地区は、地域の努力が実った数少ない成功例である。この地域はやせた不毛の地であったが、今では豊かで健康的なエコシステムな地域となっている。3年前に森林利用者グループから草原化計画が持ち上がりこれを実践したところ、林内の動物たちがこの草原に集まるようになり、自然の動物を見られる場所として観光客に人気を博するようになり、現地にも富をもたらすことにつながった。また、この草原が豊富な食物や水を供給する場所となったために、野生生物が村にまで入って来ることがなくなったという。
首相の「カトマンズは埃のない街」発言に物議
5月18日 「カトマンズは埃のない街になった。もうマスクはいらない。」とオリ首相が議会で発言したことに対して、批判が殺到している。首相はエアコン付きの車で移動していること、しかも最近導入した道路清掃車が特定の優先道路だけでしか稼働しておらずそのためにオリ首相にはその恩恵が及んでいるためだ、との批判である。まだまだ道路のダストに悩まされている市民は多く、そのために気管支系の病に苦しんでいる市民も多い。そのような大気環境改善を求めるデモも行われ、警察官との間で乱闘事件も発生しているほどで、首相の発言はこうした市民感情を逆なでするものだ。
野生生物密輸業者を連続逮捕
5月3日 警察のバクタプール局は、野生生物密輸取引業者の2つのグループを連続して逮捕した。これらはヒョウの毛皮、クマの胆嚢を所持していたグループ5人と、象牙を所持していたグループ2人である。警察は、事前に取引の情報を入手し、事情聴取したところ、供述があいまいであったので強制捜査し、逮捕したものである。
道路ダストをレンガに
5月2日 カトマンズに導入された道路清掃車の試験稼働は、日本人チームの技術指導によって行われているが、3月から実施した試験稼働の結果によると日平均で17トンのダストを道路上から回収している。このダストの主成分は土であり、技術的にはこれをレンガの材料にする可能性もある。これを含めて集めたダストの処分方法を検討したい、と担当責任者は述べた。
パタンを自転車都市に --- 可能性は?
4月8日 パタンの市長は、パタン市のマスタープランの一部として自転車レーンを張り巡らせるという野心的なビジョンを示したが、はたしてこれは可能なのだろうか。市長によれば、これまでやみくもにモータリゼーションに追随してきたが、これによる弊害は、大気汚染や交通事故の多発、歩道と緑地の除去など市民に多くの負荷をかけている。また、交通渋滞によるエネルギーや時間のロスも大きい。世界には自転車優先の都市設計ができている街もある。我々もそれに学んで住民にとって健康で安全な交通体系を目指した都市づくりを目指す、としているが・・・。
道路清掃車はVIPエリアのみ
4月7日 カトマンズに導入された道路清掃車のルートが発表されたが、これをみるとVIPの通る道路が優先され、歴史的な交通の主要道路が入っていない。また、水道工事のためにアスファルトがはがされて土埃に悩んでいる住民は、期待していたのに裏切られたという。当局は、これに対して、現在はまだオペレーターの訓練中であって、慣れてくればもっと広範囲の清掃が可能になるだろう、と釈明している。
エベレストが泣いている
4月1日 エベレストは、1953年の初登頂以来今日まで約4,000人の登山者が登頂に成功しています。1980年代から急速に登山者の数が増えたためで、これによる環境汚染が顕在化している。登山者は、シェルパを同行し数週間をこの山中に暮らすことになるが、この結果、多量のゴミとし尿が廃棄される。近年は、これらを麓の村まで持参して処理することを義務付けている。その量は、2017年にはゴミが25トン、し尿が15トンに達する。この義務を無視するケースもあり、罰金を科しているがそれでも徹底されていない。運び降ろされた汚物の処理も不完全で、洪水などで下流に流される可能性が高い。さらに過去の廃棄物がこのところの温暖化で氷の中から姿を現したりしてベースキャンプ周辺のゴミが目立っている。中国が入山禁止に踏み切った例もあるが、ネパールは観光重視でそのような政策は不可能であろう。多額の入山料を徴収している政府がこの問題に抜本的な対策を打たなければ、下流域の環境のみならず登山者自体にもに大きなダメージを与えることになる。
カトマンズ盆地の飼育動物にチップを義務化
3月24日 カトマンズ盆地で飼育されている牛などにチップを埋め込むことを義務付けることが検討されている。これにより毎年500頭にも及ぶ飼育放置牛の根絶が図られると期待されている。放置の理由は、牡であるばかりでなく、病気になった牛も含まれており、交通の妨げになるだけでなく市民の健康にも有害である。20年前から市はこのような放置牛を捕獲処分してきたが、民間による監視と管理の技術的手法を開始しようと準備をしているところである。
カトマンズに道路清掃車導入
3月15日 カトマンズ盆地に初の道路清掃車が5台導入された。イタリア製で既に4台が市に納入されている。これは走りながらブラシで路面を掃いてダストを回収してゆくもので、運転手に高度な技術が必要なためインドの技術者を招いて運転手の訓練をしている。これまで人の手に頼っていた道路清掃を機械化することで効率が高まり、市内のダスト問題の解決につながるとしている。と道路幅が8メートル以上の道は1,400キロメートルあるが、このうち1,200キロはすぐに機械による清掃を始め、残りの200キロは道路の改修工事後となる。清掃車のルートはこれから早急に検討する、と市の担当者が言っている。市長はこの機械の導入を最優先の政策としていたが、入札が不調で延び延びになっていたが、ようやく実現にこぎつけた、と述べた。
室内空気環境汚染から解放されるか
2月24日 ネパールでは、伝統的に薪、牛糞、農業廃棄物などを燃料として使っているが、これらが家々の室内空気環境を悪化させ、それによる疾病は深刻で、呼吸器感染症、慢性肺疾患、肺がん、喘息等、様々な病気で年間7,500人が死亡している。一方で、灯油などの化石燃料に依存する割合も高まっている。これらは太陽光、バイオガス、マイクロ水力などの再生可能エネルギーへの転換を図るべきである。地方では、薪の収集や調理は女性や子供の仕事になっており、呼吸器障害も女性や子供に多い。クリーンエネルギーへの転換を急ぐべきである。
Humulaでは気候変動と戦っている
1月5日 ネパール西部のHumulaでは、例年とは異なり目立った降雪がなく日照りが続いて畑が乾燥した状態が続いている。地元民もこの10年間にこのように日照りが続くのは経験がないと言っている。研究者の間ではこれは地球的規模の温暖化の影響とも考えられており、今後の推移を注目するとともに食料の確保に向けた対策の必要性が強調されている。
チトワンでサイが集落に
1月5日 チトワン国立公園の近くの街でサイが徘徊する光景が相次いでいるが、先日は、赤ちゃんを連れた母親サイが目撃され話題になっている。しかし、当局の担当者は子連れのサイは時に獰猛に攻撃する可能性があり、注意を呼び掛けるとともに、サイの公園外への出奔を防ぐ対応に追われている。
ボーダナートから人工照明撤去を
1月4日 ボーダナートのストゥーパが色とりどりの照明でライトアップされていることに対して、環境保護主義者たちは、これはエネルギーの無駄遣いであり、ひいては環境悪化に結び付くとして撤去を求めている。また世界遺産として登録されているのにこんな証明は醜悪だとの意見もある。しかし、観光施設としての顧客サービスという点から撤去に疑問視する向きもあり決着に至っていない。
去る9月12日,13日の両日岡山市で開催された、全国地質調査業協会連合会主催の「技術フォーラム2019岡山」において、当社総合環境部の吉元達哉が優秀技術発表者に選ばれました。
このたび当社は、ベトナムのホーチミン市工科大学との間でバイオマス、農業環境など幅広い環境技術分野での人材育成や研究・技術開発、新規業務の開拓などで協力する契約を締結しました。
このたび当社は、ミャンマーのマンダレー大学地質学科との間で環境化学分析分野で技術協力する契約を締結しました。 当面は、当社が大学内に設置供与する分析機器を両社が利用すること、当社の技術者が大学側利用者に技術指導することで合意したものです。