ネパールの環境関係の話題 ’97,’98


自動車排ガス検査
去る1997年7月24日付けの新聞「The Rising Nepal」によれば、交通警察署がカトマンズ市内の自動車41,952台の排ガス検査を実施したところ、16,400台の自動車が不合格とのことである。
不合格になった自動車の持ち主はもちろん民間もあるが、政府所有車も負けずに非常に高率なのは驚きである。警察の高官の談話によれば、テンプー(乗り合い三輪車)はいつも不合格であることは否定できない、というから一番ひどい車種と言えるだろう。もっともこの検査の合格基準が明確に示されていないのでほんとのことは分からない。合格してグリーンのステッカーをつけた車に対する抜き打ち検査をしたら77%が不合格だったとの報告であるから実体はよく分からないというのが真相でしょう。レッドステッカーをグリーンステッカーに勝手に張り替える輩もいるようなので・・・・。
以下はその内訳である。

          
所有者 検査に合格 検査に不合格
government 1,384 793 (36.4%)
corporation 555 353 (38.9%)
private 12,167 6,319 (34.1%)
dipromatic 1,294 422 (24.6%)
tourist 535 264 (33.0%)

1997年10月28日の新聞報道によれば、新年度(7月16日以降)になって5600台の車両を検査し、内3900台がパス、1600台が不合格となった。この検査不合格車は赤いステッカーが貼られていて、国の議会(シンガダルワール)前からプタリサダック通り、王宮通り、ニューロードを走れないこととなっている。
そうは言ってもこの規則がきちんと守られている様子はほとんどない。どうやらそのことはカトマンズっ子にもはっきり分かっているようだ。自動車産業のない国にとってこの問題はなかなか困難な課題である。不合格の自動車が朽ちて廃車になるのを待つ以外にどんな有効な手だてがあるあるのだろうか。 


ネパールで公害対策が本格始動
1997年11月22日、23日の両日カトマンズのホテル・ブルースターにおいて、工業大臣を初めとする関係委員並びに産業界の代表を集めて、「きれいな製造業実証計画」を実施するための予備的会議が開催された。その会議の名前はHOPE(Hidden Oppotunities for Productivity and Environment)と名付けられ、要するに平たく言えば、生産と環境についての隠れた声を聞く、公聴会のようなものである。この実証計画そのものは、昨年6月にスタートしたUNIDOのプロジェクトの一環である。この会議の前数ヶ月間にわたりネパール国内の代表的な工場の環境負荷の調査がUNIDOの専門家の指導の下で行われた。その結果、この公聴会となりその結果をふまえて、1998年の1月から5カ所の工場でモデル事業が展開される手はずになった。いよいよネパールにおいても本格的な「公害対策」事業が行われようとしているわけで、おおいに注目したい。
この会議の前日同じホテルにおいて「環境評価に関するワークショップ」が開催され、ネパール国内の環境の現状について、様々な角度から協議され、これが本会議に有効な情報を与えた。このワークショップにはNESSの代表者トーラン・シャルマが参加し、同社での分析結果の解説とあわせて環境問題の専門家としてプロジェクトの成功に向けて貴重な意見を述べた。 


深刻化するポカラのゴミ問題
1997年10月14日の新聞報道によればネパール国第2の都会で、観光地として有名なポカラでは毎日148u(立方メーターの間違いか?)の固形ごみが発生しそのうち90%が収集されていない。このままだと2000年には189uにもなる計算で、何とか住民や自治体に対策を考えてもらおうとNGOが活動を展開している。


カトマンズの学生がクリーン・シティ・キャンペーン
1997年11月19日の新聞報道によればネパール国では今年「Visit Nepal Year」(VNY)運動を展開することになっているが、これに呼応してカトマンズ市内の短大、中学高校生がクリーン・シティ・キャンペーンを実施することになった。これはNVYの事務局からの呼びかけに応じて、市内の10の学校が参加を表明し実現したもので、期間中決められた市内の各所を清掃するもので、識者の弁によれば、こうした運動が市民の清掃への関心を呼び覚ますことが期待されるというが、果たして如何に・・・。何しろ自分の家の庭以外は汚し放題の国民性なのだから・・・。それにしてもこうした試みがなされること事態がすばらしいワンステップであると言える。私も注目したい。


環境白書発表 ( Kathmandu Post より) 
1998年6月7日、環境省は環境白書を発表した。これは1995年以来のことで、環境の現状と消費パターンが変わらない限り益々深刻化する環境問題の将来について言及している。白書は水質、大気、騒音、廃棄物、森林、エネルギーなど広範なカテゴリーについて現状分析し、多角的に法規性の整備の重要性と住民意識の高揚が求められる事を強調している。特に都市の廃棄物のなかでも医療機関からの廃棄物の危険性に触れている。


氷河湖水害対策にオランダが援助資金
1998年8月18日、昨年夏にオーバーフローによる決壊洪水の危機的な状態にあった東部ネパール山岳地域のTshuo Rolpa湖の水位制御工事のためにオランダ政府は199百万ルピーの資金援助を提供する。これは、下流域の住民や農地、建設中の発電所の保護に役立つものとして、ネパール政府は感謝の意を表している。


ごみ収集車の進入阻止 ( Kathmandu Post より)
1998年8月24日、ゴカルナゴミ処分場のあるマルパニ村の青年たちがゴミ収集車の進入を阻止した。マルパニ村開発委員会がゴミ処分場を継続使用するための条件としてカトマンズ首都圏公社に要求していた地元青年100人の雇用と村の開発資金20百万ルピーの資金援助の要求が受け入れられないことがその理由である。また村民は、ごみ処分場によって村民の健康被害がでていると主張している。


慢性化する交通渋滞 ( Kathmandu Post より) 
1998年9月4日、カトマンズ盆地の朝夕の交通ラッシュは年々ひどくなってきた。市内の車両数は最近十年間で約3倍に増加しているのに、道路整備が追いつかないためだと専門家が警告している。現在国内で登録されている車両210,000台のうち58%に相当する120,000台が首都圏に集中している。さらに外部からの10〜15%が盆地内に進入してくる車両である。交通管理局は、この3年間にジーゼルエンジンの4輪車タクシーs3輪車タクシを登録停止している。また強制的な排ガス試験をして、不合格車の都心乗り入れを規制している。ただしリングロードから外は規制外になっている。


カトマンズの都心にゴミの山 ( Kathmandu Post より) 
1998年9月21日、マルパニ村とカトマンズ首都圏公社(KMC)との確執がこじれたため、カトマンズ市内のゴミは一時的にテクにある一時集積場所に貯蔵していたが、ついに限界に達してしまい、市の中心部にあるトゥンデケールの野外ステージ前に山積みされる事態となった。マルパニ村の青年達は強硬で、KMCの要請で出動した警察の支援によってゴミ回収車を処分場に入れようとしたが阻止された。カトマンズ市長はゴミ処分の代替地として市の西側に位置するラムコットを候補地として、2,3カ月後に使用可能な状態に整備する、と声明した。


重量車両に新規制 ( Kathmandu Post より)
1998年10月8日、交通警察署は、市内の交通渋滞緩和のために、特別の場合を除いて重車両やバスのリングロード内部への乗り入れを禁止した。またゴンガブ・バスターミナルに乗り入れるバスは途中のコテスワール、ゴウシャラ、ジョルパティ、カランキなどで客を乗り降りさせないで直行すること、ターメルやスンダラ始発の観光バスもゴンガブ・バスターミナル始発に変えるなどの措置が取られたる。またプタリサダックは駐車禁止となった。


汚染された食品 ( Kathmandu Post より)
1998年10月12日、中央食品検査センターの研究員は広く汚染食品が出回っている事に警告を発している。その研究員によれば、野菜は過剰な農薬に汚染され、煉瓦の粉が混入した粉唐辛子、汚れた水で薄めたミルクが市内で売られている。またギー(バター)も品質不良なものが出回っているのでつ近く品質基準を策定する。地元製の乾麺も黄色に変色しているものがあるが、これは発癌性物質を含んでいる。食品の検査体制はカトマンズのみにとどまっており、今後テライ地域にはぜひ必要だ。


ゴカルナごみ処分場再開 ( Kathmandu Post より) 
1998年10月13日、。カトマンズ首都圏公社(KMC)の約束不履行を理由にマルパニ村開発委員会の主導で村の青年たちが封鎖していたゴカルナごみ処分場が、コイララ首相の仲介斡旋によってようやく事態が解決してゴミ運搬車の搬入が再開された。合意内容は各政党を交えた協定を、と主張してきた村側が折れて、首相の斡旋を受け入れた事から事態が収束に動いた。また処分場では、封鎖の青年達が警察官とにらみ合っていたが、警察側の撤退でなっとくし、入り口の封鎖を解除した。これで市の中心部に山積みされてるゴミの撤去が進むことになり関係者は安堵している。


失われしパラダイス ( Kathmandu Post より) 
1998年10月19日、ようやくゴカルナゴミ処分場は再開されたが、市中にはまだまだゴミの山があちこちにあって、観光客が鼻をつまんで歩く姿が見られる。このような過去3年間の状況はニューズウィークやBBC放送で世界に伝えられ、観光産業は大きなダメージを受けている、と観光省や旅行業者が嘆いている。VNY(Visit Nepal Year)キャンペーンが実施されている真っ最中に大きな汚点である。


エベレスト地域のビール持ち込み規制 ( Kathmandu Post より)
1998年10月25日、今年8月に政府はエベレスト地域への瓶入りビールや瓶入り清涼飲料の持ち込みを禁止した。これについては地域住民もおおむね歓迎している。現在この地域で処理待ちの瓶は10万本あり、処理費用は300万ルピーと見積もられている。プラスティック瓶やアルミ缶の飲み物は許可されている。とくにアルミの空缶は回収業者がキロあたり40ルピーで買い取るのでアルミ缶入り飲料はホテルや空港でも容易に入手できるようになっている。


再生紙利用進む ( Kathmandu Post より) 
1998年11月9日、ネパールでも再生紙の利用が広がっている。再生紙生産業者の話では、カトマンズ市内の50事業所から古紙を回収して再生紙を製造している。製造過程では塩素や漂白粉を使うがその他の化学薬品は使わない。ネパールの再生紙は世界的な品質には及ばないが、インドやインドネシアの製品よりは上だ、という。Pap Nepalはネパール唯一の再生紙メーカーであり、その品質向上の秘密は伝統的なネパール紙を混ぜる事で達成されている。


地域森林へ関心 ( Kathmandu Post より)
1998年11月18日、GULARIYA県、Bardiya地区では、20年まえに人口急増による土地の開墾や木材薪の供給、放牧地の造成のために数百ヘクタールの森林が破壊された。だがここ4年間のうちに植林して地域森林を造成する人が増えている。この結果441ヘクタールの森林が地域住民に還元された。そしてそれらは洪水抑制にも効果をあげたと考えられる。住民は国有林の保護だけでなく、地域の森林についてもその重要性に目覚めてきている。


医療廃棄物 ( Kathmandu Post より)
1998年12月8日、スシル・コイララ医師は医療廃棄物が環境破壊に一役買っているのみならず、医療廃棄物が新たな伝染病の蔓延に荷担する可能性が強い事を認めた。この問題は単に自治体の問題だけではなく、医師たちにも責任があると氏は語った。


生物多様性基金 ( Kathmandu Post より)
1998年12月10日、森林土壌保全省は、世界銀行およびNGOグループと共同で生物多様性基金を創設することを発表した。このための立法、運営をワーキンググループで練り上げて、資産管理体制を確立する。これはネパールにおける生物多様性の維持に関する革新的長期的基準を設定し、地域森林共同体や地域社会への透明な資金チャンネルの一つとなるだろう。