この欄は当社の役員・従業員が自己の責任で執筆しています 


 NEW   野心的な鉄道建設!!?? 平成22年12月15日  
石田隆雄
  ネパールの公共事業省(Ministry of Physical Planning and Work)は、野心的な2大プロジェクトのフィージビリティ調査を始めるというけれども、国家予算の成立そのものが難航している現状では進捗が危ぶまれている。
 その2大プロジェクトとは、いずれも鉄道敷設計画で、一つはメチ ― マハカリ間の東西縦貫鉄道、それに繋がるポカラ ― カトマンズに至る長距離鉄道計画、もう一つはカトマンズ盆地内のメトロ電車網計画である。
 若い頃の私は、ネパールの豊富な水力を利用した電車鉄道網こそが最も適した交通ネットワークである、と常々持論を展開していたものである。しかし、現状ではモータリゼーションの進行に合わせたように道路網整備が進んでいる。一方、電力は慢性的に不足しておりカトマンズでは日常的に停電が頻発する。はたして正常な運転サービスができるものか否か、疑問が残る。また観光客は増加傾向を示しているが、膨大な費用がかかる鉄道敷設に見合うだけの利用収入を得られるかどうかが問われるところでもある。
    もし建設が始まるとすると、完成までには約十年の歳月が必要だという。それまで元気でおられたなら是非乗ってみたいものである。


    カトマンズのゴミ処理に日本が援助 平成22年3月30日  
石田隆雄
  ネパールの新聞報道によれば、カトマンズのゴミ処理事業に日本が援助の手を差し伸べることで合意した模様である。廃棄物処理問題は、ネパールに限らずどこの国でも困難な課題で、なかんずく発展途上国では行政の体制が整わず、急激な消費拡大に伴い発生する大量のゴミに悩まされている。
 ネパールの廃棄物処理は、1970年代後半にドイツのODA機関であるGTZが現況調査を開始して以来長年この機関がネパール政府を指導し、法制化や事業の推進を支援してきたのであるが、1993年に撤退した。撤退の表向きの理由は、東ドイツを併合したことによる資金不足をあげているが、当時カトマンズに在住の邦人達の大方の見方は、ネパールの行政機関の非力やネパールの国民性による事業の停滞に嫌気が差したためだろう、とうわさしていたものである。
 伝統的に生ゴミは街路に捨てて犬、鶏、牛が食べてしまうことで処理完了とする生活習慣があり、それでも残ったゴミを片付けるのは特定のカーストだけ、という考え方が根底にあり、なかなか公共意識の向上が望めないのである。したがって処理に対する費用負担の必然性に対しても住民意識が非常に低いし、行政の立場も弱いものである。本来、こうした生活廃棄物の処理は住民自身の負担でやるべき行政課題であろう。しかし、それができないのがネパールの国民性なのである。
 GTZは、20年以上の努力にもかかわらず、国や自治体の、そして住民の意識改革に失敗して抜き差しならないドロ沼に陥ったと見るべきなのである。道路やダムを造る事業とは異なり、終わりのない援助活動になりかねない。
 日本政府が環境問題に積極的に取組むことをアピールしたい鳩山政権の意を受けた今回の支援策だろうと思うが、JICAがGTZの二の舞にならないことを祈るばかりである。